- レクター宮殿(文化歴史博物館)
- 中庭
- 総督の居室
- 大評議会・元老院の間
- 牢獄
- 家具のコレクション
普段だったら一つの記事にまとめて全部載せてしまうのですが、写真もたくさん撮ったため今回は場所ごとに記事を残していこうかと思います。
まず最初はドゥブロブニクのオールドタウンにあるレクター宮殿です。クロアチアでも特に重要な歴史建造物のひとつで、現在は 文化歴史博物館 として一般公開されています。
📍Kulturno-povijesni muzej u Kneževu dvoru(レクター宮殿の文化・歴史博物館)
https://maps.app.goo.gl/pLZSSWguRx6vuW6V8

14世紀初頭に当時のラグーサ共和国政府、 つまり「特定の君主」ではなく、元老院と呼ばれる共和国議会の命令によって建設されました。その後は火災・爆発などで数回再建されています。
ラグーサ共和国 というのは、現在のクロアチア南部・ドゥブロヴニクを中心に、14世紀から1808年まで存在した独立海洋共和国 です。
しかしこの時の共和国の元首(Rector/総督)の人気はわずか一か月、権力の集中を防ぐため、任期中は宮殿から外出禁止という厳格な制度があったそうです。
建築様式はゴシック・ルネサンス・バロックが融合した独特の建築で、イタリアの建築家 オンフォリオ・ディ・ラ・カヴァ による設計と伝えられます。ファサードにはアーチ状の回廊と彫刻装飾が施され、柔らかく優雅な雰囲気を漂わせています。オールドタウンににある建物の中でも目を引く建物です。
入場料:€15(パスを利用したので無料)
📍Atrij Kneževa dvora(中庭・アトリウム)

宮殿の中で有名な中庭は、行政機能の中心となる公共空間として設けられており、1435〜1442年の再建時に整備されました。四方をアーチの回廊が囲み、二層構造の吹き抜け空間があります。柱やアーチの細部には、ルネサンス初期の装飾(アカンサス模様や花飾り)が施されています。そしてここは音響効果が非常に良いらしく、毎年開催される「ドゥブロヴニク・サマーフェスティバル(Dubrovnik Summer Festival)」では室内楽コンサートやクラシック演奏の会場として使用されているそうです。今回の旅行中も夜になにやらコンサートが開催されていました。

上階には、かつて元老院や裁判所の部屋がありました。ラグーサ共和国では、政治の場に「光と開放」を象徴的に取り入れることが重要視されました。そのため、ここは自由と透明性の象徴でもあったそうです。訪れたときはまだこの建物についての知識も浅く、ただただ美しい建築様式と空とのコントラストに見惚れていただけでしたが、ということは雨が降るとずぶ濡れの中政治を行うのか、、?なんて浅はかな私が出てきます。(写真は丁度人があまりいないときに撮れました◎)
📍Knežev dvor(総督の居室)

こちらのラブリーなお部屋はなんと総督の寝室です。先ほどにも書いたように総督の任期はわずか一か月ですが、宮殿から一歩も外に出られません。明るいピンク色は、ラグーサ貴族の典型的な色調だそうです。可愛らしいお部屋に見えて一か月間ここで国家の義務と孤独を象徴する部屋でもありました。
📍Velika vijećnica(大評議会・元老院の間)

ラグーサ共和国の政治中枢だった部屋です。ラグーサ共和国(1358–1808)は、 共和制議会政治 によって貴族が運営していました。壁には、当時の権威と知性を象徴するルネサンス装飾である複雑な幾何学模様や植物文様のフレスコ画が描かれています。
📍牢獄

こちらは宮殿入ってすぐ、中庭のすぐそばにある牢獄です。ラグーサ共和国時代(14〜18世紀)の行政・司法・警察の中心で、宮殿の中には評議会議場、裁判所、牢獄この施設が一体化していて、「裁く人」と「裁かれる人」が同じ建物にいました。裁判前の被疑者を一時的に収監していたそうです。天井も低く、窓も小さかったのもあり気が悪い感じがしたのですぐ出ました。
📍家具のコレクション
宮殿内には多くのコレクションがあり、これらは17世紀から20世紀初頭までの世俗用途向けの家具が600点以上含まれています。多くは第二次世界大戦後にドゥブロヴニク旧市街の宮殿や市内住宅から収集されたもので、主にイタリア南部やヴェネツィア・リグーリア地方の工房で製作され、17〜18世紀の黄金や装飾技法(ヴェネツィアン・ロココ)が使われています。

まずはこちらです。これを最初に目にしたとき、もうハウルの動く城の荒れ地の魔女の入れ物にしか見えなくて、、これを見てにやにやしていたのは私だけでした。
これはセダンチェアと呼ばれる当時高貴な人々が街中を移動する際に使用したものです。ジブリと、背部の魚の絵がかわいくて笑ってしまいました。恐らくもう一つのセダンチェアのほうが装飾も豪華だったのですが、お魚さんのいるこちらをあえてチョイスです。

つづいてチェスト・キャビネットです。文字通り収納家具になります。主に衣類、貴金属、重要文書などを収納するために使われました。内側は松材などの軽い木で作り、外面に高価な素材を貼り、表面はワックス仕上げ、または金箔やラッカーで装飾されていました。まるで美しい絵画のようなこちらは単なる生活用品ではなく、家そのものの名誉を表す芸術作品として扱われていたそうです。
そのほかにもたくさんの展示物があります。

夜の様子です。コンサート前だったので人がたくさん集まっていました。
レクター宮殿は、政治と司法の中心でありつつ、華やかなルネサンスとゴシック様式が調和する美しい場所でした。
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