見どころだらけのラムセス5,6世の墓|王家の谷編|エジプト旅行記#9(3日目)

  • ラムセス5,6世の墓
  • 「洞窟の書」
  • 古代エジプトの死生観「アム・ドゥアト(冥界の書)」
  • 「門の書」
  • 玄室石棺
  • 「昼の書」と「夜の書」
  • 「大地の書」

ツタンカーメンの墓の次はこちらです。今回は前回のツタンカーメンに比べ、人物よりも墓の内容について詳しく書いたものになります。

📍ラムセス5,6世の墓

5,6世となっているのは、もともとラムセス5世の墓の建設を始めたのですが彼は在位が前1145 – 1141年頃(約4~5年)と早くに亡くなったため叔父であり後継者のラムセス6世が墓を拡張し、自ら埋葬されました。実際の埋葬者はラムセス6世は前1141 – 1133年頃(在位約8年)となっています。この墓は王家の谷でも屈指の美しさを誇る墓として知られています。ということで入っていきます!

まず入り口から衝撃、、、!!!!(‘Д’)(‘Д’)まっすぐ長い廊下が続いて、壁と天井にはびっしりと文字や絵が刻まれています。第20王朝のラムセス5,6世の時代は入り口が分かりやすく、かつ入り口の上にも誰の墓か明記してあります。谷自体を傭兵部族に守らせていた時代です。

📍「洞窟の書」
入った最初の方の壁に刻まれている内容は「洞窟の書」といって、年老いた羊頭の太陽神が6つの洞窟を旅をしている様子です。日本で言う地獄絵図の様なもので、太陽神の敵対する者たちの運命を示唆する絵だそうです。死者への罰、審判の描写が多く、神々と冥界の牢獄が協調されたものになっています。(事後情報なので写真がありません(;ω;))


📍古代エジプトの死生観「アム・ドゥアト(冥界の書)」
古代エジプトでは死は人生の終わりではなく、来世へ移るための変化と考えられていました。死後、人は再生し永遠に生きると信じられていましたが、来世で生き続けるには死者は太陽神とともに正しく冥界の旅をする必要がありました(太陽が沈み、また昇ることに準じて)。この旅を守り、導くために「アム・ドゥアト(冥界にある者の書)」という王たちが死後に辿る12時間の冥界の旅を描いた地図の様なものがあります。それらがこの王の墓の壁に刻まれているというわけです。
太陽神は色々な姿に変わりながら冥界を旅するため、たくさんの太陽神の姿が登場します。黄色の太陽は昼、赤色の太陽は夜を表しているそうです。また古代エジプトではフンコロガシは太陽を運行する者として神聖化されケプリ神と名付けられ、壁画のいたるところに見つけることができます。

入口

ラムセス6世が太陽神と出会うところからスタートします。

📍「門の書」

入って左側の壁:門の書

写っていないのですが、12の門、太陽神の乗る船が描かれています。上部の青い帯のようなものはナイル川で、冥界の川を表しています。川の上は東と善人を表し、下は西と太陽神と敵対する者たちを表しています。

それにしても色がとっても綺麗なのですが、これは当時のままです。壁、柱、天井すべてに「洞窟の書」と玄室に近づくにつれ「アム・ドゥアト(冥界の書)」が描かれるようになります。ちなみに天井は天空の女神ヌト神が太陽を飲み込み、また太陽を生み出すシーンが描かれています。

天空の女神 ヌト神

📍玄室石棺

ラムセス6世のミイラが眠っていた玄室です。こちらに来ると壁画たちがさらに豪華になります!しかし近くには行けないので遠目からになります。ばらばらになっていたものが修復されたラムセス6世の石棺があります。

📍「大地の書」

玄室右側:大地の書

パズルのように積み重ねられた石棺の後ろの壁には「大地の書」と言ってオシリス神の復活を表し、太陽を持ち上げる大地の腕が描かれています。

玄室左側:大地の書

大きく、赤い太陽がたくさん描かれていました。

📍「昼の書」と「夜の書」

玄室天井:「昼の書」と「夜の書」

この墓で一番有名な書になります。これは昼の太陽の運行夜の星の運行を表すもので、同じく天空神のヌト神が太陽を飲み込むシーンで、昼は太陽神が船に乗ってヌト神の体に沿って移動し、夜は羊頭の太陽神が進んでいるシーンだそうです。
この描かれているものは王によって内容が変わるので、王が選んだものを描いていたとされています。

ラムセス5,6世の墓は当時の物が現存するとっても美しい見どころだらけのものでした。事前情報があまり無くても壁画に圧倒され、十分に楽しむことができますが、ヒエログリフだけではなく、エジプト神話とそれぞれの神々たち、エジプトの死生観、それぞれの書についてなど勉強していくと何百倍も楽しむことができると思います!私は情報量、歴史量が多すぎて勉強が追いつかないまま入ってしまったことにちょっとだけ後悔しています。とにかく本当に訪れる価値のある素晴らしいお墓でした!
次はセティ1世の墓へと参ります。

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