【絶対に行ってほしい】王家の谷最大のセティ1世の王墓へ|最も美しい神々の書が残る墓|エジプト旅行記#10(3日目)

  • セティ1世の王墓
  • 太陽円盤
  • カルトゥーシュ(Cartouche)
  • 太陽神への賛歌
  • アムドゥアトの書
  • 列柱室
  • 口明けの儀式
  • 玄室
  • デカン(天井画)

王家の谷では最大の約137mのセティ1世の王墓です。第19王朝のファラオでBC1294-1279年頃のファラオで、建築王として名高いラムセス2世の父にあたる人になります。
1817年イタリア人考古学者のGiovanni Battista Belzoni (ジョヴァンニ・バッティスタ・ベルゾーニ)によって発見されました。

Giovanni Battista Belzoni 

セティ1世王墓の発掘は彼の中でも最大の功績のためセティ1世の王墓は別名「Belzoni(ベルゾーニ)の墓」とも呼ばれているそうです。また彼はスフィンクスの発掘もしています。

📍セティ1世の王墓

この王墓は最大かつ、古代エジプト初の天体図と、アムドゥアトの書が描かれているのもあり、入場料がEGP2000と一番高いです。入り口は少し低めのころにあり、そこからさらに階段を下っていきます。

セティ1世王墓の全容

📍太陽円盤

入口左:太陽円盤

斜めからの画像でかなり見えにくくなっていますが、、入ってすぐ左には太陽円盤というものがあります。再生と復活のフンコロガシの神と、羊頭の太陽神が描かれています。太陽神は元々はハヤブサの姿ですが、西に沈むにつれ力が弱まっていくイメージを羊にして表されています。

少し進むと壁にはびっしりとヒエログリフ、天井にも鮮やかな色で絵が描かれています。圧巻です。そしてとにかく廊下が長い!終始きょろきょろしてました。

📍カルトゥーシュ(cartouche)とは

セティ1世を表すカルトゥーシュ

カルトゥーシュとは、古代エジプトで王や王族の名前を囲むために使われた楕円形の枠のことで、「王名枠」とも呼ばれます。古代エジプトの遺跡には必ず描かれているものになります。楕円形の縄で結んだ様な輪に、下部が細く伸びた帯状の形をしていて、その中に記される名前は、四方の世界を守護された存在(すなわち王) として神聖視されました。特にロゼッタストーンでプトレマイオス王の名前がカルトゥーシュに囲まれていたことが、ヒエログリフ解読に成功する手がかりにもなったそうです。縦書きにも横書きにも表記されます。一人の王に即位名と誕生名の二つが示されることが多いです。

📍太陽神への賛歌

太陽神への賛歌

少し進んでいくと翼を広げたマアト神、そしてその左右の壁には「太陽神への賛歌」と言って変容する太陽神の姿が描かれています。太陽神は日が昇り、沈み、冥界に入ると74種類の様々な姿に変容しながら旅をするのですが、その姿たちが描かれています

📍アムドゥアトの書

「アム・ドゥアトの書」4時間目

3つの頭をもつ蛇の様な体、翼、脚を持つ偉大な神が出迎えているシーンだそうです。ヒエログリフと古代エジプト語などの言葉は訳されているがモチーフや世界観などはまだ謎めいたものもたくさんあり、解明されていないものも多くあります。

アム・ドゥアトの書 5時間目 (左:イシス神 中:セティ1世 右:ハトホル女神)

先ほどの蛇の頭の神が描かれた壁の反対側のシーンです。中央のセティ1世が神々にお香を焚いたり、挨拶をしているシーンです。

大きな縦穴

先ほどの壁画は大きな穴が開いた場所に描かれていました(冒頭の王墓の全容マップのくぼみの部分)。これは冥界に行くときの困難さを表したり、そして物理的に大きな縦穴を設けることで盗掘・浸水・土砂災害対策をしたのではないかとされています。かなり深くて結構怖かったです。

📍列柱室

先ほどの縦穴を過ぎると列柱室といってその名の通り柱が数本並んだ部屋に入ります。こちらも柱の隅から隅まで壁画が施されていて、とってもカラフルで美しいです。

天井一面の星、門の書(第5の門)

列柱室の天井には深い藍色の様な色とたくさんの星たちが描かれています。星空は天空の女神ヌトを表し、また古代エジプトでは死後に王が星となって天を巡ると信じられていました。星の形というよりかは漢字の「大」のようにしか見えなかったのですが、きっとこの頃は驚くほど星が光り輝いていたのだと思います。
列柱室の壁画には門の書の第5の門のシーンが描かれています。

左:シア、中:太陽神、右:ヘカ

これは違う場所の壁画の一部になるのですが、門の書にはこのように、船に乗った太陽神と、太陽神を囲むメヘン(蛇の様な取り巻く者)、船の先頭にはシア(太陽神の力が擬人化した、認識力を表す者)、後ろにはヘカ(太陽神の魔力を表す者)が描かれています。

門の書(第5の門の一部) 

壁の少し上の方には太陽神の最大の敵である大蛇のアポピスを9柱の神々が手を隠しながら抑えているシーンが描かれています。アポピスは闇と混沌を象徴し、古代エジプト人にとっては恐れられた存在でした。日食を起こし、太陽の運行を邪魔する者として太陽神ラーの最大の敵として描かれています。

📍口明けの儀式

口明けの儀式

玄室へと続くの通路には口明けの儀式のシーンが描かれています。ミイラのままだと来世で話すことができないため、死後の世界での生活のために身体のあらゆる機能を復活させる儀式を表しています。ツタンカーメン王墓の中の中央の壁にも描かれていました。

📍玄室

玄室に到達しました。語彙力を失うほど、全てが見どころでどこをどう見ればいいのか分かりませんでした。壁には明るい黄色を基調とした美しく残るアム・ドゥアトの書の1時間目、天井には王家の谷で初の天井画のデカンがこれもまた深い藍色で鮮明に残されています。天井がドームっぽく湾曲しているのと、天井付近の翼を広げたイシス神が優しく守ってくれている感じがして個人的には好きポイントでした。ちなみにミイラも副葬品のほとんどが盗掘されて、発見されたのは遺物の断片ばかり。そして玄室の下には地下に繋がる穴が開いていて、とてつもなく長いトンネルになっているそうです。冥界にあるオシリス神の水源につながるもなのかなど諸説あり、今でも未解明のままです。

天井画のデカンの一部

こちらは王家の谷で古代エジプト初の天井画とされているデカンと呼ばれるものです。天球を36の星座に分け、10日ごとに区切られたものを表しています。カレンダー、夜間の時計、死者の冥界の旅のガイドのようなものとして用いられていました。特にこのセティ1世の王墓のデカンは非常に精密で、新王国でも最高レベルの天文装飾とされています。古代エジプト人の天体観測技術に驚かされます。天井含め玄室は非常に広大で写真で収めるのはかなり難しかったです。我々は首がおかしくなるんじゃないかというほど天井を見上げていました。

ということで王家の谷で最大級のセティ1世の王墓でした。入場料は確かにほかに比べてかなり高かったですが、行く価値しかありません。値段以上の物を目の当たりにすることができました。もうちょっと勉強してもう一度訪れたいくらいです(笑) 約3000年前の歴史がそのまま現存し、死生観、神話が全て凝縮された、そしてエジプト研究の礎にもなったとっても美しい場所でした。いや美しいだけでは言い表せないのですが、他に言葉が思いつきません。ぜひ目の当たりにして肌で感じてほしいです。